2016年9月14日

Way of SABA(mackerel)

Monthly Magazine Autocamper Oct. my report.

★月間オートキャンパー10月号の寄稿分宣伝です★


 今回の旅の相棒は、バンテックセールスさんがジル・クルーズを用意してくれました。いやぁ、正直1000万円になろうかというモデルであり、鯖街道を旅するにはすごいゼータクだと思いつつ、そのパワフルな走りを堪能したのでした。
 随分とちょっと特殊なミッションのフィーリングは解消されたようではあるが、これはエルフならではと考えれば問題なし。燃料タンクが60リットルそこそことあまり大きくないものの、出発時満タンでそのあと補給する気配がまるで発生しなかったということは、かなり燃費がいいように思える。


 本誌記事においては、メインが鯖街道、次が個人的に気になっていた鯖そうめんという切り口なのだが、取材している本人は東京パリ間の国際列車が鯖街道に由来しているということが気になってしょうがない似非鉄ヲタ状態なので、担当をねじ伏せ最初に出かけて行ったのが開業時北陸鉄道起点長浜駅。駅前駐車場に停められそうなことを、グーグルアースで確認していたので細い路地をグイグイ入って行った。
 この段階で展示車両写真をフェイスブックに打ち込んだ途端、秒殺で鉄ヲタ師匠から場所特定コメントが刺さる。海外ネタでもそうだけど、現地から打ってるのにすぐ返事が来るなんてほんのちょっと前なら考えられなかったなぁと、景色と同じくらい古い脳みその自分を感じてしまった。

 ひとしきり触りまくって鉄分補給を済ませたあと、さて町並みでもと長浜という観光地を歩き始める。細かい話は本誌に書いているので、ぜひ買ってみてくださいませ。至極個人的な無茶な解釈で時代を切ってみましたので。付録は防災系アウトドアグッズカタログです。僕の記事よりは役に立つかも。

 駅資料館を出て踏切を渡ると、そこにあったのは旧市街の街並み保存エリア。古風な背の低い日本建築がずらっと並び、中には地ビール工場もあり入りたくてしょうがない。が、当然"運転"という作業があるの泣く泣く断念。まあ少量ロット生産だろうし、原材料は輸入だろうし、製造方法も職人さんもあちらから手配だろうしと勝手に決め込み諦める。
 北国街道沿いは大正昭和臭プンプンの建物が多く、よく残っていたものだと感心。日本建築みたいなものが景観保全で補助金とかも出るのだろうが、まあそれでも大変だとは容易に想像できるもののいつの時代のどういったものか、どうしたものかな建物は誰が保全するのでしょう。


 第一目的地、観光客が絶対入らないだろうと思われる小料理屋さんにて、地元起こし名物品の定食をいただく。他の店はどうかは知らないが、名物にうまいものなしと言われる中マジでこの鯖そうめん定食は美味しかった。値段が1450円だから強烈というわけではなかったが、明らかに調理人の腕の確かさが伝わってくるのである。
 琵琶湖では鮎が小鮎の大きさまでしか育たないらしいが、それを炊くのも実に柔らかくていい感じ。味はしつこくなくまとめられたメインのおかず鯖そうめんも、食べやすいよう夏野菜を添えてと心遣いが何とも。
 当初そうめんをおかずに白御飯を食べるってのはどうなんだ? と考えていたが、ことのほか美味しく新しい感覚だった。作り方も習ったので、自分では鯖缶で再現してみようかなと思ったくらい。お店の名前は「みそ乃」



 お腹がイッパイになっているにもかかわらず、ヨーロッパあたりでよく聞く鯖サンドと長浜の鯖サンドはどう違うのかが気になり、木之本にあるパン屋さんに移動。毎月縁日があるらしく、行った時は特に大きな時だったらしくえらい大混雑。
 不思議なのは中高生女子が異様に多く居ると感じたこと。ちょっと恥ずかしかったが、社務所でバイトしていると思われる同年代オネェチャンに「なんで?」と聞いたら、学校があるからですかねぇと・・・、まあそうでしょうけど、消化不良な回答。


 翌日は三方五湖というところに初めて出かけて行った。目的は鯖街道だから鯖ネタでへしこ。確かに勉強になりました、記事ネタとして美味しゅうございました。でもね・・・、そこにあるのは水月湖で年稿が7万年保存されている場所で、僕が大好きな梅干しの元の梅園がそこかしこにあって、どうやら立てたばかりのとんでもない高さの立派なボーリングマシンの周辺に作業着にヘルメットの学術調査みたいな人が何十人も群がっていて、でも鯖街道の取材だからジル・クルーズで素通り、悲しすぎる。
 どう考えたって、あの開けっぴろげな調査場所だと思われるところへこれまた目立つ新車で突入したら、人としゃべるのが上手でない学者さんだったりしたらアッという間に車の中に取り込んで遊ばせておき、その間にシメシメと調査を覗いていらんことを説明させることができたに違いないのだ。何しろあの手の人たちは、喋っていいことといけないことの区別が自分でつかないのだから。


 とまあ鯖街道の旅は個人的欲求不満を除きつつがなく続き、行きも帰りも新幹線の取材は無事終了。帰りの京都駅コンコースにて奈良のたなかの柿の葉すしを買うという、いい加減3日間鯖尽くしでトドメを打った。